「親の見守りカメラを介護保険で安く借りられないか」と考える家庭は少なくありません。
結論として、一般に販売されている見守りカメラを「高齢者の見守りに使う」という理由だけで介護保険の福祉用具貸与にできるわけではありません。
一方、介護保険の福祉用具貸与には「認知症老人徘徊感知機器」という正式な対象種目があり、センサーで外出や特定地点の通過を検知して家族等へ通報する機器、さらに離床センサーとして整理される機器が対象になる場合があります。
つまり、見るべきなのは「カメラが付いているか」ではなく、その製品が介護保険の対象となる福祉用具として扱われる機器かどうかです。
先に結論|普通の見守りカメラと介護保険の見守り機器は分けて考える
【公式確認】
厚生労働省は、福祉用具貸与の対象に「認知症老人徘徊感知機器」を含めています。
厚生労働省の解釈通知では、認知症のある高齢者が屋外へ出ようとした時、または屋内のある地点を通過した時に、センサーで感知して家族・隣人等へ通報するものとされています。
また、ベッドや布団等を離れた時に通報する離床センサーも、この範囲に含まれると整理されています。
したがって、次のように分けると分かりやすくなります。
| 機器 | 介護保険の考え方 |
|---|---|
| 市販の一般的な見守りカメラ | 見守り目的だけでは自動的に福祉用具貸与対象にはならない |
| 認知症老人徘徊感知機器に該当する機器 | 条件を満たせば福祉用具貸与の対象になり得る |
| 離床センサー | 認知症老人徘徊感知機器の範囲として対象になり得る |
| カメラ機能を持つ福祉用具 | 「カメラ付き」だけで判断せず、対象種目としての登録・取扱いを確認する |
介護保険で借りられる「認知症老人徘徊感知機器」とは
厚生労働省の定義では、対象は「認知症である老人が徘徊し、屋外に出ようとした時又は屋内のある地点を通過した時に、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの」です。
典型的には、玄関や廊下などで移動を検知するセンサー、ベッドや布団から離れたことを検知する離床センサーなどが考えられます。
重要なのは、Amazonや家電量販店で「見守りカメラ」として売られているかどうかではなく、介護保険の福祉用具貸与として取り扱われる製品かどうかです。
個別製品が対象かは、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、福祉用具貸与事業所へ製品名を伝えて確認してください。
「カメラ付きなら対象外」とも言い切れない
ここは誤解しやすい点です。
介護保険の対象種目は、一般消費者向けの商品名ではなく、福祉用具としての機能・範囲で整理されています。そのため、カメラ機能があることだけを理由に対象外と断定するのも適切ではありません。
【編集部整理】
- 一般的な家庭用ネットワークカメラを買う → 介護保険対象とは考えない
- 福祉用具貸与事業所から見守り機器を提案される → 対象種目・製品・要介護度を確認
- カメラ機能付きの見守り機器 → 「カメラだから不可/可」と決めず、福祉用具としての取扱いを確認
「介護保険が使える見守りカメラ」という商品名だけで判断せず、貸与事業所側で介護保険対象として扱えるかを確認するのが安全です。
要支援1・2、要介護1は原則対象外になる
厚生労働省は、福祉用具貸与のうち、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ以外の種目について、要支援1・2および要介護1では原則給付対象外としています。
認知症老人徘徊感知機器も、この原則対象外に含まれます。
ただし、身体状態や認定調査結果等による例外があります。厚生労働省も、状態によっては基本調査結果に基づく判断や市町村への申請により給付対象となる場合があると案内しています。
したがって、「要介護1だから絶対に自費」「要介護2以上だから必ず使える」と単純化しないでください。
介護保険でレンタルできる13品目と軽度者の扱いは「介護保険でレンタルできる福祉用具13品目」で詳しく整理しています。
介護保険で使うまでの確認順
- 要介護認定の有無を確認する
- ケアマネジャーへ、どの場面を見守りたいか相談する
- 福祉用具専門相談員・貸与事業所から対象製品を確認する
- その製品が認知症老人徘徊感知機器等として介護保険対象か確認する
- 要介護度による原則対象外・例外給付を確認する
- 自己負担額、月額、設置条件、通信条件、返却条件を確認する
- 本人へ何を検知・通知する機器か説明し同意を得る
要介護認定がまだの場合は「要介護認定の申請方法」も確認してください。

介護保険対象でも無料ではない
介護保険の福祉用具貸与は、対象になれば費用負担がなくなる制度ではありません。
利用者は所得等に応じた自己負担があり、貸与価格も製品・事業所等で異なります。さらに見守り機器では、通信費や介護保険給付外のサービス料金が別に設定される可能性があります。
契約前に次を分けて確認します。
- 福祉用具貸与としての月額
- 介護保険適用後の自己負担
- 通信費
- 通知アプリ等の利用料
- 設置費
- 解約・返却条件
- 介護保険対象外となる付帯サービス
「介護保険対象」という表示だけで総額を判断しないことが大切です。
Wi-Fi・工事・賃貸の条件も確認する
介護保険の対象かどうかと、実際に自宅へ設置できるかは別問題です。
見守り機器によっては電源、家庭のインターネット回線、専用通信機器、壁への固定などが必要です。
賃貸住宅では、穴あけや固定工事が必要な場合に、管理会社・貸主への確認が必要になることがあります。貸与品であっても、退去時の原状回復や機器返却を確認しておきます。
介護保険を使わず市販カメラを選ぶ方が合う場合
介護保険対象の福祉用具が必ず最適とは限りません。
たとえば次の家庭では、市販カメラや一般の見守りサービスを自費で選ぶ方が条件に合う場合があります。
- 認知症老人徘徊感知機器の対象場面ではなく、単純に室内映像を確認したい
- 介護認定前で、今すぐ簡単な見守りを始めたい
- 家族が必要な機能を自費で選びたい
- 公的制度・自治体サービス・電話で十分なため、介護保険の機器自体が不要
ただし、介護が始まっている家庭では、先にケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談すると、他の福祉用具や支援も含めて整理しやすくなります。
本人同意と安全|「監視」ではなく目的を共有する
介護保険対象の機器であっても、本人へ知らせず設置することを前提にしません。
離床、外出、特定地点の通過など、生活行動を検知して家族や支援者へ通知する機器です。何を検知するのか、誰に通知するのか、通知後に誰が対応するのかを本人・家族・支援者で共有してください。
カメラ機能がある場合は、映像の閲覧者、録画の有無、設置場所も確認します。
まとめ
一般的な見守りカメラが、見守り目的というだけで介護保険の対象になるわけではありません。
一方、介護保険の福祉用具貸与には「認知症老人徘徊感知機器」があり、外出・通過をセンサーで検知して通報する機器や離床センサーが対象になり得ます。
個別製品は「カメラかどうか」ではなく、福祉用具貸与として対象になる製品かを確認してください。要支援1・2、要介護1には原則対象外と例外給付もあるため、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員、市区町村へ確認してから契約するのが確実です。
確認した公式資料
- 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」
- 厚生労働省「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」
- 厚生労働省「福祉用具の給付対象に係る取扱い」
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」
最終確認日:2026年8月17日


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