「最近、親が買い物や通院を負担そうにしている」「退院後、一人で暮らせるか心配」「家族だけで何を決めればいいか分からない」——。親の介護が始まりそうなとき、最初から介護用品や施設を探し回る必要はありません。
最初にやることは、今起きている変化を事実として整理し、親の希望を確認し、親の住所地を担当する地域包括支援センターなど公的な相談先につなぐことです。介護保険サービスが必要そうなら、市区町村で要介護・要支援認定の申請を検討します。
この記事の「最初の2週間」は制度上の期限ではありません。介護が始まりそうな時期に家族が一度に抱え込まないため、確認事項を時間順に並べた編集部整理です。急病、転倒、意識障害など生命・身体に緊急性がある場合は、この順番より医療機関や119番など必要な緊急対応を優先してください。
先に結論|最初の2週間で確認する7つのこと
| 時期の目安 | 確認すること | 目的 |
|---|---|---|
| 当日〜2日 | 1.何が変わったかを事実でメモする | 診断ではなく、相談材料を作る |
| 当日〜3日 | 2.親本人の希望と困りごとを確認する | 家族だけで介護方針を決めない |
| 1〜5日 | 3.地域包括支援センターへ相談する | 地域の制度・支援先へつなぐ |
| 3〜7日 | 4.要介護・要支援認定が必要か相談し、必要なら申請する | 介護保険サービス利用の入口を作る |
| 3〜10日 | 5.医療・生活・連絡先の情報を整理する | 家族と専門職が状況を共有しやすくする |
| 5〜10日 | 6.家族の役割と仕事の制度を確認する | 一人へ負担を集中させない |
| 7〜14日 | 7.一番困っていることから支援を1つ整える | 一度に全部変えず、生活を安定させる |
最終確認日:2026年8月11日
記事区分:厚生労働省・介護サービス情報公表システムに基づく介護開始時の行動整理

1.何が変わったかを「診断」せずにメモする
最初に、家族が感じた変化を短く書き出します。ここで病名や要介護度を推測する必要はありません。
- 歩く速度が遅くなった、階段がつらそう
- 買い物、掃除、洗濯、食事づくりが負担そう
- 服薬や通院の管理が難しくなっている
- 食事量や体重に大きな変化がある
- 入浴やトイレに以前より時間がかかる
- 電話に出ない、約束を忘れるなど以前との違いがある
「認知症だと思う」「要介護2くらいだと思う」のように家族だけで判定せず、いつ、どんな場面で、何が起きたかを記録します。医療上の判断が必要な変化は医療機関へ相談してください。
2.親本人に「何が一番困るか」を聞く
介護が必要そうに見えても、家族が困っていることと親本人が困っていることは一致しない場合があります。
最初の話し合いでは、施設入居や高額なサービスを一気に決めるより、次のような小さな質問から始めます。
- 今、一人でやるのが一番大変なのは何か
- 家族に手伝ってほしいこと、してほしくないことは何か
- できるだけ続けたい生活習慣は何か
- 病院や役所へ家族が一緒に行ってよいか
- 介護サービスや見守りについて、どこまでなら受け入れられるか
本人が意思を示せる状況では、本人の希望を中心にします。本サイトでは、本人に知らせず見守り機器を設置したり、家族だけで生活上の重要事項を決めたりする方法は推奨しません。
3.迷ったら、親の住所地の地域包括支援センターへ相談する
厚生労働省は、地域包括支援センターを、高齢者の総合相談、権利擁護、介護予防、地域の支援体制づくりなどを行う中核的な機関として案内しています。市町村が設置し、全国のセンターは厚生労働省の案内や介護サービス情報公表システムから探せます。
まだ要介護認定を受けていなくても、「最近こういうことが難しくなった」「離れて暮らしていて何を確認すればよいか」と相談する入口になります。
電話する前に3つだけ整理
- 親の住所
- 最近変わったこと・困っていること
- 家族がどこまで手伝えるか
全部の情報が揃うまで相談を遅らせる必要はありません。親の住所地を担当するセンターが分からない場合は、厚生労働省「介護サービス情報公表システム」や市区町村の公式サイトで確認できます。
4.介護保険サービスが必要そうなら、要介護・要支援認定を検討する
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、介護保険サービス利用の入口として、まず市区町村の窓口で要介護・要支援認定を申請する流れを案内しています。
申請後は、市区町村等の調査員による認定調査、主治医意見書、審査・判定などを経て認定されます。家族が本人の状態から要介護度を決めるものではありません。
2週間で「認定まで終わらせる」必要はない
この記事の2週間は、相談と申請の入口を作る期間として整理しています。認定調査、主治医意見書、審査等があるため、2週間で結果が出ることを前提に予定を組まないでください。
「認定を申請するべき状態か分からない」という段階なら、まず地域包括支援センターや市区町村の窓口へ相談します。
5.医療・生活・連絡先の情報を1枚にまとめる
家族や相談先が状況を把握しやすいよう、必要な範囲だけ情報をまとめます。
| 項目 | 確認する例 |
|---|---|
| 医療 | かかりつけ医、通院先、現在使っている薬 |
| 生活 | 一人で難しくなった家事、移動、食事、入浴など |
| 住まい | 独居か同居か、階段、寝室・トイレの位置 |
| 連絡 | 親へ最初に連絡する人、近くで動ける家族・親族 |
| 既存支援 | 通院、配食、見守り、自治体サービスなど |
| 本人の希望 | 続けたい暮らし、受け入れられる支援、避けたいこと |
医療情報や金銭情報は必要以上に家族全員へ広げず、共有する相手と目的を本人と確認してください。パスワードや暗証番号を家族が勝手に収集する必要はありません。
6.家族の役割と、仕事を続けるための制度を確認する
介護が始まりそうになると、「誰が実家へ行くか」「仕事を辞めるしかないか」と考えやすくなります。しかし、最初から一人が介護を抱える前提にしない方がよいでしょう。
厚生労働省は介護休業について、休業期間中は自分だけで介護を行うのではなく、仕事と介護を両立できる体制を整える準備期間として捉え、地域包括支援センターへの相談、介護サービスの手配、家族の分担などに活用する考え方を示しています。
対象となる労働者は、対象家族1人につき3回、通算93日まで介護休業を利用できます。適用条件があるため、実際に使う場合は勤務先の制度と厚生労働省の最新案内を確認してください。
また、2025年4月から、労働者が介護に直面した旨を申し出た場合、事業主には介護休業等の制度に関する個別周知と利用意向の確認が義務付けられています。
家族内で決めるのは「担当」より「役割」
- 役所・地域包括との連絡
- 通院や医療機関との連絡
- 買い物・食事・日用品
- 緊急時の現地確認
- 費用や書類の確認
一人が全部を担当するのではなく、遠方でもできる連絡・書類整理と、現地でしかできない対応を分けます。
7.2週間目までに「一番困っていること」を1つだけ整える
最初の2週間で、介護生活全体を完成させる必要はありません。今一番困っていることを1つ選び、その問題を軽くする支援から整えます。
- 買い物が難しい → 配送・家族分担・地域サービスを相談
- 食事づくりが難しい → 配食や食事支援を相談
- 入浴が難しい → 介護サービスの利用を相談
- 歩行・起き上がりが難しい → 福祉用具や住宅環境を専門職へ相談
- 離れていて安否が心配 → 家族連絡・自治体制度・見守り方法を確認
高額な介護用品を急いで買う前に、介護保険や福祉用具の対象になる可能性も含めて相談先へ確認します。
親がまだ自立中心で、介護サービスより見守りから始めたい段階なら、高齢者の見守りを無料で始める5つの方法や高齢者の見守り方法6タイプ比較も参考にしてください。
最初の2週間で、やらなくてよいこと
- 家族だけで要介護度を予想して決める:認定は市区町村の手続きで行われます。
- 最初から仕事を辞める:まず介護休業・介護休暇・勤務先の両立支援制度と、外部サービスを確認します。
- 介護用品をまとめ買いする:本人の状態や制度利用で必要なものが変わります。
- 施設入居まで一気に決める:緊急性がなければ、まず現在の生活で何が難しいかを整理します。
- 本人に知らせず生活を管理する:本人が意思を示せる場合は、希望と同意を確認します。
状況別|最初の相談先
| 状況 | 最初の相談先の候補 |
|---|---|
| 何から始めるか分からない | 親の住所地の地域包括支援センター |
| 介護保険サービスを使いたい | 市区町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センター |
| 急な体調変化・けが | 医療機関。緊急性が高い場合は119番等 |
| 入院中で退院後が心配 | 病院の退院支援・医療ソーシャルワーカー等の相談窓口 |
| 仕事との両立が難しい | 勤務先の人事・相談窓口、厚生労働省の介護休業制度案内 |
名称や担当部署は地域・勤務先で異なります。制度や申請先は、親の住む市区町村と勤務先の最新案内を確認してください。
よくある質問
親がまだ要介護認定を受けていなくても地域包括支援センターへ相談できますか?
地域包括支援センターは高齢者の総合相談を担う機関です。「認定が必要か分からない」という段階から、親の住所地を担当するセンターへ相談先として確認できます。
要介護認定は家族が代わりに判断できますか?
できません。申請後の認定調査や主治医意見書、審査・判定などを経て市区町村が認定します。家族は、普段の生活で困っている事実を整理して伝える役割に徹します。
介護が始まったら仕事を休むべきですか?
家庭と仕事の状況によります。介護休業は、厚生労働省が仕事と介護を両立する体制を整える準備期間として活用する考え方を示しています。勤務先の制度を確認し、サービス手配や家族分担も含めて考えてください。
親が介護サービスを嫌がる場合はどうしますか?
緊急性がない場合は、何が嫌なのかを確認し、いきなり大きく生活を変えず、一番困っている部分だけ支援する方法から相談します。本人の意思を無視してサービス利用を進めることは本サイトでは推奨しません。
まとめ|最初に必要なのは「全部決めること」ではなく、相談と整理
親の介護が始まりそうなとき、最初の2週間で介護生活を完成させる必要はありません。
- 変化を事実で整理する
- 親本人の希望を確認する
- 地域包括支援センターへ相談する
- 必要なら要介護・要支援認定を申請する
- 医療・生活・連絡情報を整理する
- 家族分担と仕事の制度を確認する
- 一番困っていることから支援を1つ整える
この順番なら、家族だけで抱え込まず、公的制度と専門職を使いながら次の判断へ進めます。親の状態を家族だけで診断せず、本人の意思を確認し、必要な制度へ早めにつながることを最初の目標にしてください。
確認した公式資料
- 厚生労働省「地域包括ケアシステム」
- 介護サービス情報公表システム「サービス利用までの流れ」
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
- 厚生労働省「介護休業」
- 厚生労働省「介護休業制度 法改正のポイント」
免責:本記事は公的な公開資料を基に、介護が始まりそうな時期の一般的な確認事項を整理したものです。個別の病気、要介護度、医療行為、介護サービスの必要性を判断するものではありません。親本人の状態や地域制度に応じて、医療機関、市区町村、地域包括支援センター等へ確認してください。


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