介護ベッドや車いすをレンタルするとき、「介護保険なら全国どこでも同じ料金」と思われがちですが、実際には同じ商品でも事業者によって貸与価格が異なることがあります。
一方、青天井に自由な料金を付けられるわけでもありません。介護保険の福祉用具貸与には、商品ごとの全国平均貸与価格と貸与価格の上限が公表されています。
先に結論|上限はあるが、上限以内なら全事業者が同額になる制度ではない
| 用語 | 意味 | 利用者が見るポイント |
|---|---|---|
| 全国平均貸与価格 | 同じ商品が全国でいくらで貸与されているかの平均 | 自分の事業者の価格が平均と比べてどうか |
| 貸与価格の上限 | 介護保険給付の対象として認める商品ごとの上限 | 上限を超える価格は保険給付対象外 |
| 実際の貸与価格 | 各事業者が設定する商品価格 | 事業者・商品・地域等で差がある |
| 自己負担 | 介護保険適用後の1〜3割 | 負担割合証と実際の貸与価格を確認 |

貸与価格の上限は「全国平均+1標準偏差」が基本
厚生労働省は、福祉用具貸与の価格適正化のため、2018年10月から商品ごとの価格上限を設定しています。
現在の考え方は、原則として全国平均貸与価格+1標準偏差(1SD)を上限とするものです。上限を超える価格で貸与する場合、その部分だけ追加自己負担になるのではなく、介護保険給付の対象外となる扱いです。
利用者側が数式を計算する必要はありません。商品コードごとの全国平均と上限は厚生労働省が公表しています。
2026年8月現在も新商品の上限は更新されている
厚生労働省は2026年7月22日、2027年1月貸与分から適用する新商品の全国平均貸与価格・上限を公表しています。新商品については3か月に1度の頻度で公表し、すでに上限が設定されている商品は原則3年に1度見直す仕組みです。
そのため、古い記事に書かれた上限金額をそのまま使わず、商品コードと適用時期を確認してください。
同じ商品なのに料金が違う主な理由
上限価格は「一律の定価」ではありません。上限以内で各事業者の貸与価格が設定されるため差が生まれます。
- 仕入れや物流・保管体制
- 事業者の営業・訪問対応体制
- 点検・メンテナンス体制
- 地域の貸与価格水準
- 同一機能でも別商品・別型番を選んでいる
「同じ介護ベッドに見える」だけでは比較できません。商品コード・メーカー・型番まで同じか確認します。
福祉用具専門相談員から全国平均価格の説明を受ける
厚生労働省は、福祉用具専門相談員が利用者へ、貸与しようとする商品の特徴、利用料、全国平均貸与価格を説明し、機能や価格帯が異なる複数商品を提示する取組を求めています。
見積もりを見て分からない場合は、「この商品の全国平均貸与価格はいくらですか」「同じ目的でもう少し低価格の商品はありますか」と聞いて構いません。
自己負担額は「実際の貸与価格×1〜3割」が基本
介護保険の負担割合が1割なら、保険給付対象となる貸与価格の1割が利用者負担の基本です。2割・3割負担の方はその割合になります。
ただし、軽度者の例外給付など、そもそもその種目が介護保険給付対象になるかの条件は別に確認が必要です。要支援・要介護1の福祉用具例外給付も参考にしてください。
月額の安さだけで事業者を変えない
数百円の差があっても、故障時の交換、定期点検、身体状態が変わったときの機種変更、搬入・回収の対応が大きく違うことがあります。
すでにレンタル中で事業者を変えたい場合は、福祉用具レンタルの返却・変更・事業者変更で、旧商品の回収と新商品の搬入の空白を作らない手順を確認してください。
比較するときの7項目
- メーカー・商品名・商品コードは同じか
- 月額の貸与価格
- 全国平均貸与価格
- 自己負担額
- 定期点検の頻度
- 故障・交換時の対応
- 身体状態が変わったときの機種変更
平均より高い=悪い、安い=よいとは限らない
全国平均は比較材料ですが、平均を超えているだけで不適切な価格とは判断できません。上限以内であり、本人の状態に合い、必要なサポートが含まれているかを見る必要があります。
一方、理由が分からないまま高い商品しか提示されていない場合は、複数商品の提示を依頼したり、ケアマネジャーへ相談したりできます。
福祉用具の種目全体も確認する
介護保険で貸与対象となる福祉用具は種目ごとに条件が異なります。対象種目は介護保険でレンタルできる福祉用具で整理しています。
2024年4月から貸与と購入の選択制になった一部用具については、購入との比較も必要です。
まとめ|「上限がある」ことと「価格が同じ」は別
介護保険の福祉用具レンタルには、商品ごとの全国平均貸与価格と価格上限があります。上限は原則として全国平均+1標準偏差で設定されています。
ただし、上限以内なら事業者ごとに価格差はあり得ます。商品コードをそろえ、全国平均、実際の月額、自己負担、点検・交換対応まで比較してください。


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