離れて暮らす高齢の親に、首から下げる「見守りペンダント」を持ってもらえば安心なのか。商品名は似ていますが、実際には「位置を追うGPS」ではなく、本人がボタンを押すことで受信センターや警備会社へ緊急通報する方式が中心です。
結論から言うと、見守りペンダントは「急な体調不良や転倒時に、本人が自分でボタンを押せる」「家の中でも固定電話やスマートフォンまで移動するのが難しい」という家庭に合いやすい方式です。
一方、意識を失った場合や、ペンダントを身につけていない場合、本人が押すことを忘れた場合まで自動的に検知できるとは限りません。自動の安否確認が必要なら、人感センサーなどを組み合わせる方式も比較する必要があります。
先に確認|見守りペンダントは「緊急通報」と「GPS」を分けて考える
【編集部整理】
| 方式 | 主な役割 | 本人の操作 | 屋外利用 | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| 緊急通報ペンダント | ボタンで通報 | 必要 | 屋内限定の製品・制度がある | 急病・転倒時に助けを呼ぶ |
| 自動センサー | 一定時間の無反応などを検知 | 原則不要 | 主に自宅内 | 本人が押せない場合も補完したい |
| GPS端末 | 端末の位置を検索 | 持ち歩き・充電が必要 | 屋外向けの方式あり | 外出後に居場所を確認したい |
セコムの「マイドクター」は、親の見守りプランで使われるペンダント型の救急通報ボタンです。公式では室内利用として案内され、握ることで救急信号を送り、緊急対処員が駆け付け、必要に応じて119番通報します。
ALSOKの「みまもりサポート」にも、家の中限定のペンダント型緊急ボタンがあります。
外出時の居場所確認が主目的なら、ペンダントではなく「GPSで高齢の親を見守る方法」を確認してください。
最初に自治体の緊急通報制度を調べる
有料サービスを契約する前に、親が住む自治体の緊急通報制度を確認します。
たとえば杉並区では、65歳以上の高齢者のみの世帯で、慢性疾患があるなど常時注意を要する人を対象に、ペンダント型救急ボタン、安心センサー、火災センサー、通報機を貸与・設置しています。
2026年4月時点の利用者負担は所得に応じて無料~600円です。急病時に救急ボタンを押した場合だけでなく、安心センサーが一定時間人の動きを感知しない場合も自動通報します。
ただし、これは杉並区の例です。対象年齢、世帯要件、所得条件、持病等の要件、機器、費用は自治体ごとに異なります。
探すときは、次の語で自治体公式サイトを検索すると見つけやすくなります。
- 「自治体名 高齢者 緊急通報」
- 「自治体名 救急通報 ペンダント」
- 「自治体名 高齢者 見守り 緊急ボタン」
分からなければ、地域包括支援センターへ「高齢者向けの緊急通報装置やペンダントの貸与制度はありますか」と確認してください。
ペンダント型の強み|電話まで移動しなくても助けを呼べる
緊急通報ペンダントの利点は、固定電話やスマートフォンの場所まで移動できない状況でも、身につけていればその場で通報操作をしやすいことです。
ALSOKは、コントローラーの場所まで歩けない緊急時でもペンダントから通報できると案内しています。セコムも、マイドクターを軽く握るだけで救急信号を送れるとしています。
親がスマートフォンを苦手としていても、「このボタンを押す」という操作に絞れるのは利点です。
ただし、購入前・契約前には実際の押し方、握る力、首から下げることへの抵抗、寝るときや入浴時にどうするかを本人と確認してください。
弱点|本人が押せない状況には弱い
【編集部整理】
ペンダント型緊急ボタンは、本人の操作で通報する仕組みです。そのため、次のような状況ではペンダントだけでは不足する可能性があります。
- 意識を失っている
- ペンダントを別室に置いている
- 身につける習慣が定着しない
- 緊急時にボタンの存在を思い出せない
- 操作できない身体状態になっている
「転倒を自動検知する」「何もしなくても必ず通報される」といった機能は、製品ごとの公式仕様を確認しない限り前提にしないでください。
セコムの親の見守りプランや杉並区の制度のように、人の動きが一定時間ないときに異常信号を送るセンサーを併用できる仕組みもあります。
自動見守りとの違いは「一人暮らし高齢者の見守りサービスの選び方」でも整理しています。
屋内だけか、外出先でも使えるかを確認する
「ペンダント型」という形だけでは利用範囲は分かりません。
セコムの親の見守りプランで案内されるマイドクターは救急通報が室内のみ、ALSOKのみまもりサポートのペンダント型緊急ボタンも家の中限定です。
外出時の見守りまで必要なのに、屋内専用のペンダントを選ぶと目的に合いません。
契約前に次を確認します。
- 1. 家の中だけか
- 2. 庭・共用廊下まで届くか
- 3. 外出先で使えるか
- 4. 通信圏外になったときどうなるか
- 5. 位置情報機能があるか
- 6. 通報後に誰が対応するか
Wi-Fi・電話回線・電源条件を確認する
ペンダント自体が小型でも、受信センターへ信号を送るためのコントローラーや通信機器が自宅に必要な方式があります。
杉並区の緊急通報システムは、固定電話または携帯電話のいずれかがない人は利用できないと明記しています。
民間サービスについても、「Wi-Fi不要だろう」と推測せず、契約するプランの通信方式を確認してください。
確認項目は次のとおりです。
- 自宅Wi-Fiが必要か
- 固定電話・携帯電話が必要か
- コントローラーの電源
- 停電時の動作
- 通信障害時の扱い
- 機器の設置場所
実家にWi-Fiがないことだけでペンダント方式を除外する必要はありませんが、通信条件の確認は必要です。

賃貸では工事方法を先に確認する
緊急通報システムによっては、壁や天井への機器固定が必要です。
杉並区の制度では、コントローラーやセンサー設置のため壁にビス穴が開くこと、賃貸住宅では家主等の工事承諾が必要なことを公式に案内しています。
一方、ALSOKは、賃貸マンションでもビス等を使わず設置できる場合があると案内しています。
「賃貸だから不可」「見守りペンダントなら工事不要」と一律には判断せず、実際の設置方法を確認します。
費用はペンダント単体ではなくサービス総額を見る
ALSOKでは2026年8月19日時点で、ペンダント型緊急ボタンのオプション料金例として、買い上げは機器費11,429円、レンタルとゼロスタートは月額198円の追加と案内されています。
ただし、これはペンダントだけで完結する月額料金ではありません。公式ページにも「コントローラー(非常通報装置)のみの場合の料金に各オプション料金が加算」とあります。
比較するときは、次を合計します。
- 基本サービスの月額
- ペンダントの追加月額
- 機器費
- 工事費
- 駆け付け時の追加料金の有無
- 最低利用期間
- 解約時の精算
- レンタル機器の返却
セコムの契約条件は「セコムの高齢者見守り」、ALSOKは「ALSOKの高齢者見守り」で別に整理しています。
向く家庭・向かない家庭
向く家庭
- 親本人が緊急時にボタンを押せる
- スマートフォンより単純な操作がよい
- 自宅内で急病や転倒時に助けを呼べる手段が欲しい
- 家族が遠方で、受信センターや駆け付けサービスが必要
- カメラを置きたくない
向かない・ペンダントだけでは足りない家庭
- ペンダントを身につけることを本人が嫌がる
- 意識消失など「押せない状況」への備えを最優先したい
- 主目的が外出先の位置確認
- 通報後に誰も対応できないサービスを選んでいる
- 本人が仕組みを理解できず、誤操作が繰り返される
自治体制度によっては、適切な利用が難しい人を対象外としている場合もあります。本人の状態に合わせて地域包括支援センターなどへ相談してください。
本人同意|カメラがなくても説明は必要
ペンダントはカメラよりプライバシー負担を抑えやすい方式ですが、本人に知らせず持たせることは前提にしません。
- どこへ通報されるのか
- 誰が駆け付けるのか
- 鍵を預ける必要があるか
- 緊急連絡先は誰か
- センサーを併用するなら何を検知するのか
を本人と共有します。
杉並区の制度では、現場派遣のため自宅の鍵を委託事業者へ預けられない人は利用できません。このような運用条件も、機器の見た目以上に重要です。
契約前チェックリスト
- 1. 自治体の無料・低額制度がないか
- 2. 本人がボタンを押せるか
- 3. 屋内専用か、屋外でも使えるか
- 4. Wi-Fi・電話回線・電源条件
- 5. 工事と賃貸の承諾
- 6. 通報後の連絡・駆け付け・119番の流れ
- 7. 基本料金を含む総額
- 8. 最低利用期間・解約条件・返却
- 9. 鍵預かりの有無
- 10. 本人が利用に同意しているか
まとめ
高齢者向け見守りペンダントは、「身につけたボタンを押して緊急通報する」方式が中心です。
本人が自分で通報でき、自宅内で電話まで移動しにくい家庭には有力な選択肢です。一方、押せない状況や外出時の位置確認まで自動で解決する機器ではありません。
まず自治体の緊急通報制度を確認し、有料サービスを比較する場合は、ペンダント単体の料金ではなく基本契約、通信、工事、駆け付け、解約・返却まで含めて判断してください。
確認した公式資料
- 杉並区「高齢者緊急通報システム」
- セコム「セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン)」
- ALSOK「HOME ALSOK みまもりサポート」
最終確認日:2026年8月19日


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