介護用品を買うとき、「介護保険なら何でも1割で買える」と考えるのは誤りです。介護保険で購入費の支給対象になるのは、特定福祉用具販売として定められた用具を、指定を受けた事業者から購入する場合が基本です。
支給限度基準額は1年度(4月1日~翌年3月31日)につき10万円です。10万円の商品を無料でもらえる制度ではなく、利用者の負担割合に応じて原則1~3割を自己負担します。
先に結論|買う前に「対象品目・指定事業者・年度残額」の3点を確認
| 確認項目 | 基本 | 注意 |
|---|---|---|
| 対象者 | 要支援・要介護認定を受けて在宅で生活する方など | 入院・入所中など自治体の運用条件を確認 |
| 上限 | 1年度の購入費10万円が支給限度基準額 | 上限超過分は全額自己負担 |
| 自己負担 | 原則1~3割 | 負担割合証を確認 |
| 購入先 | 特定福祉用具販売の指定事業者 | 一般通販で買う前に対象可否を確認 |
| 支払方法 | 償還払いが原則 | 自治体により受領委任払い制度あり |
欲しい商品を先にネットで注文するのではなく、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談してから購入先を決める方が安全です。

介護保険で購入費支給の対象になる福祉用具
厚生労働省の制度と2026年時点の自治体案内を整理すると、特定福祉用具販売では次の種目が対象です。自治体資料では9種目として整理される例があります。
- 腰掛便座:ポータブルトイレ、便座の高さを補うものなど対象条件あり
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具:入浴用いす、入浴台、浴槽用手すり、浴室内すのこ、入浴用介助ベルトなど
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部分
- 排泄予測支援機器
- 固定用スロープ
- 歩行器:選択制の対象範囲に条件あり
- 歩行補助つえ:対象となる杖の種類に条件あり
最後の固定用スロープ、歩行器、歩行補助つえの一部は2024年4月から貸与と販売の選択制になっています。詳細は同時制作の「スロープ・歩行器・杖はレンタルと購入どっち?」で整理する内容です。
年間10万円は「もらえる金額」ではない
1年度につき10万円という数字は、介護保険の購入費支給の計算対象になる購入費の上限です。
たとえば負担割合が1割なら、対象となる購入費10万円に対して保険給付分は最大9万円、自己負担は1万円という考え方です。2割負担なら最大8万円、3割負担なら最大7万円が保険給付分となります。
10万円を超えた購入費の部分は全額自己負担になります。また、同じ年度に複数の商品を買う場合は合計で管理します。
指定事業者から購入することが重要
介護保険の購入費支給は、対象に見える商品ならどこで買っても同じではありません。指定を受けた特定福祉用具販売事業者から購入することが基本です。
市川市は、都道府県の指定を受けた事業者から購入した場合のみ介護給付の対象と案内しています。さらに、指定事業者であっても福祉用具専門相談員から助言を受けられないインターネット販売・通信販売等は対象にならないと案内しています。中野区も通信販売を対象外とする運用を示しています。
Amazonや一般ECで同じ名称の商品が安く見えても、介護保険を使う予定なら注文前に自治体と担当者へ確認してください。
償還払い|いったん全額を払い、後で支給を受けるのが原則
介護サービス情報公表システムや自治体案内では、福祉用具購入費は原則として「償還払い」です。
- 対象用具を指定事業者から購入
- 利用者がいったん購入費全額を支払う
- 領収書等を添えて自治体へ申請
- 審査後、自己負担分を除く保険給付分が支給される
一時的に全額を立て替える必要があるため、金額が大きい場合は購入前に資金負担も確認します。
受領委任払い|自治体によっては最初から1~3割だけ払える
自治体によっては「受領委任払い」を用意しています。これは利用者が事業者へ自己負担分だけを支払い、保険給付分の受領を事業者へ委任する方法です。
中野区では、受領委任払いにより一時的な費用負担を軽減できると案内しています。ただし利用条件・登録事業者・申請方法は自治体ごとに異なります。
「全額をいったん払うのが難しい」場合は、購入前に自治体へ受領委任払いの有無を確認してください。
購入前の流れ
- ケアマネジャーまたは地域包括支援センターへ相談
- 購入したい用具が特定福祉用具の対象か確認
- 指定された販売事業者を選ぶ
- 福祉用具専門相談員から適合性・使い方・価格の説明を受ける
- 購入・領収書等を受け取る
- 自治体へ支給申請
排泄予測支援機器など、品目によって追加書類や専門職の確認が必要になる例があります。申請書類は居住自治体の最新案内を使ってください。
レンタルと購入を混同しない
介護ベッドや車いすなど、原則として購入費支給ではなく福祉用具貸与として使う品目もあります。買いたいものが見つかったからといって、介護保険の「購入費」が使えるとは限りません。
介護保険でレンタルできる福祉用具13品目と照らして、貸与・販売・住宅改修のどの制度に当たるかを分けます。
工事不要の手すりについては工事不要の手すりと介護保険レンタル、壁や床への固定工事については介護保険の住宅改修も確認してください。
同じ品目をもう一度買いたい場合は先に相談
同一年度の上限内でも、同じ種目を何度でも介護保険で買えるわけではありません。自治体は、同じ種類の用具について原則として再購入を対象外とし、破損して修理できない、身体状態が大きく変化したなど一定の場合に例外を認める運用を示しています。
買い直す前に自治体へ確認します。
向く家庭・向かない家庭
制度を使いやすい家庭
- 要支援・要介護認定を受けている
- 在宅生活で対象用具が必要
- ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談できる
- 指定事業者から購入する
先に購入しない方がよいケース
- 介護保険認定前で制度利用可否が分からない
- 一般通販で先に注文しようとしている
- 貸与・住宅改修の方が合う可能性がある
- 年度の残り上限が分からない
- 本人に合うサイズ・仕様を確認していない
まとめ|介護保険の購入制度は「対象商品を安く買う」だけの制度ではない
特定福祉用具販売は、対象品目、指定事業者、専門相談、申請を組み合わせた制度です。1年度10万円の購入費を基準に、原則1~3割を自己負担します。
欲しい商品を先に買わず、まず担当者へ相談し、「レンタル」「特定福祉用具販売」「住宅改修」のどれに当たるかを確認してください。自治体に受領委任払いがあれば、一時的な全額立替を抑えられる場合もあります。


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